ナメクジの生態・・ナメクジが嫌いな植物(野菜)は・・ホウレンソウ、シュンギク? The ecology of slugs・・Slugs do not like vegetables of bitter taste ?
こんにちは。
野菜は好き嫌いないんです~! と思わせるナメクジですが、あまり好まない植物はあるようです。
これまで、ホウレンソウはナメクジによる食害に合わず収穫できる・・と感じながらいろいろな野菜を育てていました。
以前、ホウレンソウ、シュンギク、コマツナ、の種をそれぞれ撒き、ナメクジによる食害の様子を観察しようと試みたのですが、予期せぬアリの参入によってアリの観察をすることになってしまい、当初の目的から外れてしまいました。
おかげでアリの生態の一部分を知ることとなりました。
今回は、やっと当初の目的であるナメクジによる食害の様子を観察することができました。
簡単に上記 アリの参入 による観察状況と観察で得た事柄について記してみます。
種が好きなアリ
ホウレンソウ、シュンギク、コマツナ、それぞれ1列に種蒔き後、コマツナの種蒔き場所のみに体長2ミリほどのアリが巣を作り、数回にわたり場所を変えて種蒔きしても同じくコマツナの種蒔き場所だけにアリの巣ができました。
体長2ミリほどのアリを誘引するのは種の付属物であるエライオソームという物質であることがわかり、その脂質と糖から成るエライオソームを持つ代表的種子はスミレの種です。
早速、スミレの種を購入し、ホウレンソウ、シュンギク、コマツナ、スミレ、の種を1列に土の上に並べると、アリの反応はコマツナの種との比ではありませんでした。
スミレの種を短時間のうちに飛ぶような速さで抱え運んで行ったのです。運んでいるアリの姿は、かなり興奮気味に見えました。
スミレの種をアリ1匹で抱えかなりの速さで運ぶのに対し、コマツナの種はアリ2匹で運ぶ姿が多く見られました。
明らかに肉眼でしっかり確認できるほどのエライオソームを付着させたスミレの種を除くと、コマツナの種にエライオソームが付着しているかどうかは肉眼では確認できませんでしたが、アリの反応はホウレンソウとシュンギクの種とは明らかに違って、コマツナの種に執着していました。
種を巣に持ち込み種の付属物(エライオソーム)を好んで食料にし、付属物以外の種の部分は巣の外に捨てるのだそう。
捨てられた種は、その場所で発芽する、というのです。
* コマツナの種にも数種あり、中にはアリ(体長2ミリ程)の反応が疎いコマツナの種もありますが、ホウレンソウ、シュンギク、の種と比較すると、コマツナの種はアリ(体長2ミリ程)を誘引することは明らかでした。
アリについては、こんな感じです。
それでは、主題に戻って・・ホウレンソウはナメクジによる食害に合わず成長し収穫できる・・? を確認すべく観察の様子について以下に記していきたいと思います。
ナメクジによる食害の様子
コマツナ、ホウレンソウ、シュンギク、のそれぞれの種をプランター2個に撒き発芽させナメクジによる食害の様子を観察しました。
同日の種蒔きですが、ホウレンソウ、シュンギクに比べコマツナは数日早く発芽しました。
発芽後、10日程経過した状態です。
(コマツナ、ホウレンソウ、の順。)
雨上がり夕方、発芽直後から食害が進んでいるコマツナの葉を食害するナメクジ。
2か所に小さい穴があるものの、ナメクジの食害跡は見られないホウレンソウの葉。
(コマツナ、シュンギク、それぞれ発芽。)
雨上がり夕方、発芽直後から食害がすすんでいるコマツナの葉を食害するナメクジ。
食害跡は見られないシュンギク。
この時点で、2個のプランターに種蒔きしたコマツナの葉の食害跡は顕著にみられ、葉の外側からのギザギザの食害跡から、ナメクジによる食害跡と考えて良いと思います。
ここで、毎晩ナメクジによる食害のひどいモロッコインゲンと隣り合わせでプランターに種蒔きしたゴーヤが食害に合わず発芽成長しているのを見て、上記2個のプランター中央にゴーヤの種を撒きました。
数日後、次々とゴーヤの発芽が見られます。
(コマツナ、ゴーヤ(中央に1本発芽)、ホウレンソウ、の順。)
(ホウレンソウは数日前の猛暑日以降、葉が黄色くなり下葉が腐ってきました。)
全体的に食害が進んでいるコマツナ。
4か所穴の開いた葉が見られるが、ナメクジの食害跡かどうかは疑問のホウレンソウ。
(コマツナ、ゴーヤ、シュンギク、の順。)
全体的に食害が進んでいるコマツナ。
矢印は、ナメクジの食害跡のキラキラ線が残っている食害されたゴーヤの葉。
食害跡は見られないシュンギク。
ホウレンソウの下葉が枯れ、ナメクジは枯れた葉が好物であることを考えると、枯れたホウレンソウに集まることも予想され好ましい観察条件ではありません。
ここまで、2個のプランターに植えてあるコマツナの食害はどちらも顕著です。
この後、ナメクジの写真がありますので、苦手な方はご注意ください。
(夜10時の様子。)
7匹のナメクジが確認できたコマツナ。
1匹のナメクジが確認できたホウレンソウ。
5匹のナメクジが確認されたコマツナ。
発芽したてのゴーヤを食害しているナメクジ。
ゴーヤの双葉を食害するダンゴムシ。
1匹のナメクジが確認できたシュンギク。
ナメクジがいた発芽したてのゴーヤの翌日朝の様子。食害されかけの幼芽と幼茎が真っ二つ。
一夜にして新芽食害途中で幼茎を切り倒した状態というのは初めて見る光景です。
これがナメクジの仕業だとしたら、ナメクジは苦みに激怒して行動に至ったのではないか、などとあれこれ想像し非常に興味深いです。
夜間のナメクジの活動から、ホウレンソウ、シュンギク、を全く食害しないわけではないようですが、ホウレンソウ、ゴーヤ、にある穴の開いたような食害は、ダンゴムシによるものであるということも否定はできないところはあります。
この後、コマツナの葉に沢山の糞とともに青虫がいるのを見かけ、ナメクジによる食害の断定が困難になるため観察終了としました。
コマツナの葉で見かけた青虫。
これまでのことから考えると・・食害する野菜は選ばない、と思われているナメクジですが、アクの強い(苦みのある)野菜は好まない、と考えて良いのではないかと思います。
ナメクジは、どちらかと言うと、ホウレンソウ、シュンギクは嫌いな植物(野菜)なんです!
コマツナの顕著な食害跡や夜間の観察からも、ホウレンソウ、シュンギク、と比較すると、コマツナはナメクジの好物とみるのが適当と考えられます。
発芽したてのゴーヤを食害して、結局のところ芽は食害途中で幼茎を切り倒す、という状態は初めて目にすることで、全てがナメクジの仕業であるとしたら驚きの行動です。
ゴーヤの芽を食してみたが苦みが強く途中で断念したのではないか、と思ったりするのですが。
しかし、ゴーヤの葉をしっかり食害しているのです。
はたと、ゴーヤの葉の苦みに疑問を持ち、ちぎって噛んでみたところ青臭さはあるものの、苦みはそれほど感じませんでした。
んー、ナメクジの好みは複雑です~。
ナメクジは臭覚が行動を左右する、であるならば、同じプランターで観察することは、コマツナに誘引され、たまたまホウレンソウ、シュンギク、に近寄ってしまった、という見方も否定できないのでは・・。
観察から、ナメクジにとってホウレンソウ、シュンギク(アクの強い苦い野菜)、は、全く食害しない野菜というわけではないようですが、しかし、好まない野菜である、と言えると思います。
ゴーヤの葉については苦み成分自体に疑問が残るものの、ナメクジの好物野菜の隣にあれば、そちらに惹かれる傾向があるのかもしれません。
知れば知るほど謎だらけの生き物です。
* 冬場のえさのない時期、ホウレンソウは鳥にも食されないで収穫できる野菜、と感じます。それに比べ、コマツナは鳥の大好物だと見えて、食べつくされます。
コマツナはアリ、ナメクジ、鳥、と敵が多いので、無農薬で収穫するには敵の少ないホウレンソウが良いかもしれません。
本日はこれにて失礼いたします~。🎎